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動物福祉

動物愛護と動物福祉は別物だよ

動物福祉はその種の動物にとってその環境・状態は適切であるか?

動物愛護は人間にとってどう感じるか?

動物福祉と動物愛護ではざっくりとこうした違いがあります。

これを混同してしまうと、動物を愛している・慈しんでいるつもりで虐待になっていることも少なくありません。

動物福祉と動物愛護は何が違うのかについてお話しします。

動物愛護と動物福祉は『人間主体』『動物主体』の違い

動物愛護と動物福祉を混合して考えている人は多いですが、このふたつは全くの別物です。

動物愛護は思想。人間が主体となって考える感情が軸になったもので「人間にとってどうなのか?」というもの。

一方で、動物福祉は人間ではなくその種の動物が主体となっているもので「その動物にとってどうなのか?」というもの。

これは非常に大きな違いで、動物と関わる上でまず基本であり大事なのは動物愛護ではなく動物福祉です。

なぜなら動物愛護はあくまでも人間側の気持ちがどうなのかの問題なので、例え対象となる動物が苦痛・不快・恐怖といったネガティブな状況に置かれていたとしても人間の気持ちがよけれがOKになってしまうからです。

しかし、動物福祉の概念から言えばそれはタブー。

考えるべきはその動物にとってどうなのか?というところ。

  • その動物にとって苦痛ではないか?不快ではないか?恐怖ではないか?
  • だとすれば、それはどうすれば取り除くことができるか?
  • 全て取り除くことはできなくてもせめて軽減させてあげることはできないか?どうすればもっとQOL(生活の質)を上げることができるか?

といったように、動物福祉はその種の動物にとってのQOLを考えそれの向上のために最善を尽くします。

動物福祉を軽んじて動物愛護に重きを置くと虐待になる

どんなに犬や猫などその動物をあなたや周りの人が「可愛がっている」「大事にしている」「幸せそうだ」と言っていても、その子の置かれている状況に対してその子自身が不快だと感じていればそれ違います。

考えるべきは動物福祉。つまり、その動物にとって現在の環境はどうなのか?を見て考えることが必要なんです。

ですので、そこには「可愛がっている」「大事にしている」「幸せそう」といった主観は意味がありません。

動物愛護精神を持つことはもちろん大事ですが、動物愛護だけで動物福祉をないがしろにしていると愛という名の虐待や犯罪を引き起こします。

「虐待や犯罪なんてするわけない!していない!」

なんて声が聞こえそうですが、事実それは毎日のように至るところで起こっているのが現実。

例えば、「しつけ」や「愛」や「この子のため」という言葉を使って体罰を使い、それによって犬は傷つき最悪死に至るといった悲しい事件もありますよね。

ちなみに、体罰について日本獣医動物行動研究会は次のような声明文を発表しています。

体罰に関する声明

日本獣医動物行動研究会は、飼い主、トレーナー、獣医師など動物にかかわる人が、家庭動物のしつけや行動修正のために「体罰」を用いること、またこれを推奨する行為に反対します。

体罰は一種の暴力であり、動物福祉を侵害する行為です。動物は体罰を受けることにより身体的だけではなく精神的な苦痛をも感じます。

私たちは、体罰に依ることなく科学的な根拠に基づき、動物福祉にかなった効果的で持続性があるしつけや行動修正の手法を開発・研究し続けること、それらを社会に発信・啓発し続けることに邁進します。

体罰に関する声明文発表について|日本獣医動物行動研究会

ここにあるように、動物福祉を侵害する行為のひとつである体罰はその動物に身体的・精神的な苦痛を与えるため決して使ってはなりません。

なお、体罰に強度は一切関係ありません。

弱ければいい、適切な強さで一瞬でいれればいい、とよく言われる方もいますが体罰そのものがNGです。

しかし、愛護精神だけが大きく動物福祉を知らない・軽視しているとこれは犬を守るために必要なことなんだと、いとも簡単にそれをやってしまいます。

それは体罰という虐待を「しつけだ、その子のためだ」と美化しているだけであって、体罰は虐待であるという事実は決して変わらないのです。

ですから動物愛護も大事ですがそれよりもまず考えなくてはならないのは動物福祉であり、動物と関わる上で最も重要なものだと言えます。

動物愛護精神はなくても動物福祉ができていれば問題ない

極論、動物愛護精神を持っていなくても動物福祉さえ全うしていれば、その動物のQOLは高い水準を保てるはずです。

例えば、私は虫や爬虫類は苦手。マジで苦手。

しかし、その子達のお世話をしなければならないとなったら、少なくともその子達にとって快適な環境とは何かを勉強し提供します。

繰り返しますが、その子たちのことを愛でる余裕は今の所ありません。だって苦手なんですもの(´;ω;`)

とはいえ、やはりその子達をお世話するとなったらQOLを考えるので必然的に動物福祉に沿った行動を取ります。

一方、もしこれが愛護精神旺盛で動物福祉なんて知らないとか愛があるんだから大丈夫といった考えだったらどうでしょう。

不適切な環境によりその子達が不安や苦痛などネガティブなストレスを受けていたとしても、可愛がっているのだから虐待ではないと感情で片付けてしまうかもしれません。

そもそも、それが不適切なのかその動物が快か不快かもわからないままに自分にとって良いと感じることをし続けると思います。(怖っ)

結果、そうすることで結局苦しむのは他の誰でもない環境に身を置いている動物たちです。外側から施す人間ではありません。

動物愛護と動物福祉の両方を備えて関わるのが一番だとは思います。しかし、動物福祉さえ充実させていればそこに感情はなくても動物にとっての幸福は約束されます。

基本の前提として大事なのは動物福祉

動物愛護は人間主体の人間の感情・思想。

動物福祉は動物が主体のその動物種にとってどうなのか?の概念。

何度も繰り返しますが大事なのは動物福祉です。人間が良いと考えているものも対象となる動物にとっては不適切・不快であることは多々あります。

動物の幸せを考えるのであれば、人間にとって自分にとってどうなのかではなくその動物にとってどうなのかを考え観察し行動するようにしましょう。

そのうえで、動物愛護の心でその動物を慈しみ・敬い精一杯愛して寄り添うことが大事だと思います。

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